横浜市民ではあるが、横浜駅を挟んで反対方向である相模鉄道にはなかなか乗る機会がない。この相模鉄道本線はかつて「神中鉄道(じんちゅうてつどう)」という会社であったが、現在のJR相模線である相模鉄道と合併し、しかもその翌年に相模線が鉄道省に買収されてしまったため、神中鉄道が相模鉄道として生き残るということになってしまったものだ。
この神中鉄道にはハ20形という二軸客車が在籍していたが、うち1両は三重の三岐鉄道に売却された後別府鉄道が購入、昭和59年に別府鉄道が廃止になるまで現役で活躍していたという長寿車である。その別府鉄道ハ7が相模鉄道「横浜駅乗り入れ50周年」記念事業として相模鉄道に返却され、保存されているということをひょんなことから知ったため、本日訪ねてみたものである。(いや長い前振り。以下画像クリックで拡大。オリジナル写真はこちら)

外観。光線の関係でやや赤っぽく見えるが、黒色である。
EOS40D タムロンA16 29mm F8 1/250秒 ISO400 WBオート PSスタンダード
保存場所は海老名市かしわ台駅隣にある相模鉄道かしわ台車両センターの敷地内である。センターの門のところに「ご用の方は事務所に許可を取って入場してください」とあったので、一番近い建屋に入って、ちょうど事務室から出てきた職員に「保存車両の見学をしたいのですが」と申し出ると、「ああ、どうぞどうぞ。でも黄色い線からは(敷地の)中に入らないでくださいね」とにこやかに快諾していただいた。

車内の様子。車掌用制動ハンドルが見える。座席は妻面の手前で終わっている。
EOS40D タムロンA16 17mm F5.6 1/50秒 ISO400 WBオート PSスタンダード 内蔵ストロボ使用
公園などでの公開ではないこともあり、別府鉄道からの譲渡から25年以上経過しているにもかかわらず、保存状態は良好だ。車端のデッキ部には階段が設置されていて、内部にも立ち入り可能であるが、腰掛けにへたりもなく、汚された後もなく、ましてや落書きなどもなく、静かに余生を送っている様子が見られる。
別府鉄道が廃止になったのは管理人の大学時代で、いつか撮影に行こうと考えていたところだっただけに、非常に残念に思っていた。そういう意味でこんなところで出会えるというのは意図せざる幸運である。

モニタ屋根の様子。かなり天井が低い。屋根上段に取り付けられている棒は握り棒であろうか。→つり革を下げる棒だったようだ
EOS40D タムロンA16 17mm F8 1/13秒 ISO400 WBオート PSスタンダード 内蔵ストロボ使用
大宮の鉄道博物館を除けば、関東で他に木造二軸客車が保存されている例を知らない。鉄道博物館でさえ二軸客車は御料車だけのはずである。モニタ屋根車、二軸車、木造車というだけでも十分貴重だが、優等車ではなく庶民が利用した名もない車両が残っているのはさらに貴重なことであろう。

どうでもいいが、左の「3号機関車」の解説文に、「てにをは」レベルの誤植が1カ所ある
ハ20形ハ24号客車。大正15年4月汽車会社東京支店製造。昭和24年三岐鉄道へ譲渡。昭和34年別府鉄道へ譲渡。形式ハフ7となり、土山線で使用。昭和59年1月31日同線の廃止により、相模鉄道に保存のため譲渡、ハ24に復元。
車軸の走り装置はリンク式だが、平軸受・板バネとあっては乗り心地は良くはあるまい。車内は重厚なニス塗り。窓は二段だが上昇するのは下段だけで上段は固定。また定員50名とあるが着席はどう考えても18~20名で、立ち客も30名はとても収容できるとは思えない。デッキ部にも立てると考えればどうにかなるかもしれないが・・・
保存場所ではやはり汽車会社製で同じ大正15年製の1C1型タンクが展示されている。
ぜひこの良い状態のまま保存が続いてくれることを切に願う。
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